母親より歳上のお姉さまに服を譲られそうになった話

職場に、母親より歳上のお姉さまがいる。

便宜上ここではミドリさんと呼ぶ。

 

職場には私と同じ年頃の女子が数名いて、あと50代の女性も2人いる。

ミドリさんは、普段は別室にいるお姉さまで、フェミニンな空気をまとった「女子ィ」みたいな感じの人である。華やかな名残を感じるので、お若いころはたしかに綺麗だったと思われる。かつて「さぞかしお若いころはおモテになったんでしょうねぇ」と私が話したら「そうなの…♡」と否定のカケラもなかったので、まぁモテたんだろう。

そんなミドリさんなので、なんというか今も服がフェミニン系なのだが、えっと、その…時代を捉えたフェミニンさではなくて、フリフリしたチュニックみたいな、うーん、まぁ要はスタイリッシュではない感じの服が多い。(なおピンクとかは着ない。黒系が多い。)

 

そんなミドリさん。

 

同僚のAちゃん(同い年)が残業時間に声をかけてきた。

Aちゃん「ミドリさんに、着てない新品の服あげるって言われて、一回着てみてって預かっちゃってるんだけどさ…どうしよう」

私「まじで。」

もうね、見る前から、要るわけないんですよ。わかりきってる。でも、見せてもらう。

 

白と黒のボーダーのトップス…

の、下にフリフリした布が足されててチュニック仕様になっとる。要らん。

の、さらに、セットで袖のないボレロ(どゆこと)がついている。

着こなせない。圧倒的に私たちの年代の着こなし力を超過したデザイン。

 

Aちゃん「パジャマでなら着れるかな…でもパジャマでも要らないよね…」

私「要らないね…」

 

とりあえず頑張って断る、肩入らないとかそういう理由で断る!私実際肩けっこう立派だし!とAちゃんは言った。(実際そんなことはない)

 

そして次の日…

どうやらAちゃんはいつのまにか断ったらしい。そしたら、50代の女性にもミドリさんは声をかけていた。50代の人は、私には可愛すぎます〜!って断ってた。そして、ミドリさんは私の隣の席のBちゃんのところに来た。

 

やばい。このままでは私のところにも来る。

とっさに私はコンビニに立った(昼休み中)。

Bちゃんはミドリさんに廊下に連行されていた。私はそれを横目にさりげなく出ようとしたら、Aちゃんと目が合った。

Aちゃん「〇〇ちゃん(←私)、逃げて!逃げてーっ!!」(←超小声)

私「分かった、逃げる」

 

コンビニでヨーグルトを手にしながら、そろそろほとぼりが冷めただろうか…と思っていると、AちゃんからLINEが。

Aちゃん「ダメだ、Bちゃんも断ったらどうせだからもう一人(私のこと)も聞いてみるって言ってる…ごめん、力不足で…」

Aちゃんの配慮がすごい。ありがとう、戻るよ私…

ちなみにBちゃんは、化繊がダメという理由で断ったらしい。みんな理由付け考え抜かれてる笑

 

席に着き、何もしてないけどパソコンいじって忙しい風を演出している私にミドリさんがさっそく声をかけてきた。忙しい風は意味なかった。

 

ミドリさん「〇〇ちゃん(←私)、忙しいのにごめんね…私が着ない服があるんだけどさ、」

初耳みたいな感じで振り向く私。

服を取り出すミドリさん。

そしたら…

 

ミドリさん「可愛い系の服なのよ…だから〇〇ちゃん(私)は、着れないよね??」

 

いや、じゃあなんで聞いた!?笑

なんか私だけ聞き方おかしくない!?笑

いや着れないからいいんだけどさ!!

 

ものすごく引っかかったが、好機とばかりに私もすかさず

私「可愛い系かぁー!じゃあ着れないです!!」(服も見ず)

ミドリさん「だよねぇ〜〜」

 

いや、だからじゃあ聞くなよ!!!笑

 

まぁきっと、ミドリさんなりの気配りというか遠慮なんだろうな(押し付けないようにという)とは思う…よ?

でもその聞き方私にしかしてないのなんで!?っていう…まぁどう見ても可愛い系フェミニン系着れない顔と体型と性格だけど…見る目あるけど…

 

私「いやもうこの可愛らしいデザインはミドリさんしか着られないですよー!服だけあってもミドリさんだと思いますもん!!」私の謎の盛り上げ今思い返しても謎

 

ミドリさん「そっかぁ〜着たいんだけどねぇ、

バストがきつくって…♡」

私「あら〜羨ましいっ!」

ミドリさん「どうもすみません♡」

 

いやミドリさん気持ちが若いわ。感服する。

 

ミドリさん「じゃあ頑張って痩せるしかないかぁ〜」

私「ミドリさんなら着られますよ!頑張ってください!!」

もう、私、太鼓叩きまくり。(ポンポンポポポンっ)

 

ミドリさん「〇〇ちゃん(私)は、セクシー系だものねぇ」

ここで初めて知ったキャラ付け。私はセクシー系だったのか。

おそらく、この日たまたまタイトスカートで高めのヒールを履いていたからだと思うが、ミドリさんはきっとオシャレが好きなので、私の服もよく見ているのである。たまに褒められる(いわゆるセクシー系(?)のときに限る。Tシャツにチノパンのときは何も言われない)。

 

 

楽しい職場です。

 

ちなみに昔飲み会のときに私が「酔って帰ってそのまま床で寝ちゃってることありますね」って言ったらミドリさんに「アンビリーバボー!信じられない」と言われたことはきっとずっと忘れない。「うちの娘も全然しっかりしてないと思って見てるんだけど、(私の話を聞くと)まだ良い方なのね〜」と言われたことも決して忘れない。

ミドリさんは、女子であり少女であり、素直なだけなので怒ってはいけない。怒ってはいない。

ただこうやって一生忘れない言葉をブログに記すくらいしても許されますよね…

 

 

繰り返しますが、楽しい職場です。