自身に備わった「何かを愛する機能」を実感する瞬間

今まで、全く自覚がなかったのですが、

スーパーの見切り品コーナーにあさりがあると、なんだか無視できず、購入を検討してしまう。

だいたい「砂抜き30分程度必要」と書いてある上、スーパーにいる時間がそれなりに遅いので(だからこそ見切り品になっているのだけど)今から砂抜きして料理して…とか考えると、無理だなーと思って諦めてしまうことも多いけど、なんとか上手いことできないかとか明日まではもつのかとか、色々考えてしまう。

かなり後ろ髪引かれる。

 

という、「見切り品あさりに後ろ髪引かれがちな現象」自体、つい最近気付いたのだが、そもそもなんであさりなんだろう?と考えてみた。

そして、ある重大な事実に気がついた…!!

 

あさりって、普段スーパーで売っている、唯一の生き物なんじゃ…?

しじみは概念が同じなので除く

 

野菜や果物など植物はなしとして。スーパーによっては毛蟹とかホヤとか売ってるかもだけど、どこのスーパーにでもだいたい売ってるもので生き物ってたぶんあさりなんです。

 

そして、おそらく、生きているあさりが見切られそうになっている状態に胸が痛み、救済したい、なんとか買いたいという気持ちが芽生えるのではないかと推測される。

 

 

んで、こないだそんなあさりを見て、買ったんです。その日の調理は難しそうな時間だけど、砂抜き後一日くらいなら冷蔵庫でもつらしいとネットで知り(その場で調べた)。

 

帰宅して、夕飯を食べたあと、砂抜きに着手する。なお、塩水の濃度は毎回のようにネットで調べないと分からない、覚えない。

 

塩水を作って、あさりのパックを開ける。管を「そんな出す?」ってくらい出してリラックスしてるやつや、頑なに殻を閉じているやつなど、個性に富む。個性?鮮度?分からんけど、そんなあさりたちを見ていると、なぜか、小学生のときにハムスターを飼えることになってペットショップに買いに行ったのを思い出す。わちゃわちゃと赤ちゃんハムがたくさんいる中で、一番小さくて一番臆病そうな(今思えば)子を飼ったのだけど、あの中も物怖じしない子とかマイペースな子とか色々だったんだろうなぁ、このあさりたちがハムスターだとすると私が買ったやつはこの管出しまくってるやつじゃなくて殻閉じてるやつだな、などとやや危ない想像を働かせながら塩水に浸ける。

文章にすると私って結構やばいやつなのかも…

 

まぁそんな感じで、あとは要らないチラシを被せて台所の電気を消す。あさりは暗いところじゃないと活動しないということで。

 

で、部屋で過ごしてるとあさりの存在を忘れて、バーンと台所の電気をつけて物を取りに行ったりしてしまう。そしてハッとあさりに気付いて「ごめんびっくりしちゃった…?」ってチラッと覗き込んで、特に意に介していない彼らの様子を見て「良かったぁ〜」ってなっている。

もしかして子供育てるってこんな感じ…?

物音立てちゃって、襖開けて覗いて、「良かった〜寝てる寝てる」みたいな…(想像)

「ふふっ、覗かれてることも知らずに管出しちゃって…」と、何かと同居しているかのような満足感すら感じる。

やっぱり私すごいやばいやつなのかも…

 

そんな感じで1時間ほど経ったら砂抜きは終了として、冷蔵庫に入れるために保存用の容器でまた塩水に浸ける。ネットによると、蓋をすると呼吸できないのでキッチンペーパーなどをかけると良いとのこと。

ふわふわしちゃうので、そのまま水に浸してみた。

浸してみたんだけど、え、これ大丈夫だよね…

人間だと、寝てる顔に濡れたタオルとか半紙とかかけて窒息死させるのあるけど、なんかそれっぽくなってるけど、あさり死なないよね…?

 

若干不安だけど、そこは二枚貝のポテンシャルを信じる。また明日元気で会おうな…!

 

 

ー翌日ー

さて、帰宅後夕食のためにあさりを調理する。

ドキドキで冷蔵庫から取り出す…

さぁ、生きてるのか…っ

 

な、なんかみんな管出しきってる…!

リラックス…?と思いながら、揺するも、皆微動だにしない。管を出したまま、横たわっている。

 

し、死んでる…!!!

 

なんかもうめっちゃショックだった。あさりを殺しちゃった…

にしても、冷蔵庫で保存すると管出したまま死ぬの怖…

 

とりあえず砂抜き終わってるし料理はしようと思って、洗うためにがらんがらんとボウルに入れる。

そしたら…

みんな管をシュルシュルと仕舞うではありませんか。

 

い、生きてた…っっっ!!!

 

良かったぁ〜。

寝てたのかな?リラックスしすぎやろ。人間の冷蔵庫の中だぞ。

 

でも、ほんと良かった。殺してなかった…

 

 

そして、洗われたあさりはその数分後、熱されたフライパンの中に躊躇なく入れられたのでした。ボンゴレビアンコになりました。

 

どんなに愛着がわいても、やはりあさりはあさりなので、かわいそうで料理できない気持ちには絶対ならない。食材です。

 

 

と、あさりを救済したくて買いたくなる話を職場で係長にしたら、「そうなんだ!(筆者)さん優しいね。でも食べちゃうんだよね?」

と、かなり根幹を綺麗に突かれた感ある会話を交わした。確かに私の言う救済ってなんなんだろう…

捨てられるより食べられたほうが良いだろうという人間のエゴすら感じられる壮大な話に。

 

ま、シンプルに食品ロスなくそうという話だと思えば問題ない!